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編集会議でVOGUE/GQの編集長の講義を聴いた。
雑誌というビジネスモデルの将来と課題について経営者レベルでしっかりと認識し、未来のことを考えて雑誌を作っている。自分が雑誌業界に持っていた漠然とした疑問(経営レベルまでいかないとビジネス的に優秀な人間がいない、優秀なコンテンツを作りさえすればいいという旧態依然とした勘違い、全体的に古いアタマの人が多いような印象など)の答えが、実際に第一線(というか超一線?そのへんの雑誌とはレベルが違う)で活躍している方から聞けて、視界が開けた。
・元LEONで、今度はWEB&PAPERで今までにないラグジュアリーメディアをつくると言った岸田編集長。
・BRUTUSの現役編集長で「インターネットは全くと言っていいほど使わず、競合雑誌も意識せず、ひらすら『BRUTUS』らしさを作っていく」と言った石渡編集長。
・そして、雑誌のビジネスモデルの根幹を再構築しようとする斉藤編集長。
外から見てるととにかくスカシまくりの○○な人たちという印象だけど、三者三様、それぞれがそれぞれに雑誌の未来に向けて進んでいる。
久しぶりに雑誌の将来が楽しみだと思うようになった。
以下は備忘録代わりのメモ。
■雑誌というビジネスモデルとラグジュアリーブランドについて
◇印刷費は1ページ10万円(100万部以上は版が複数必要なので高くなる)
◇編集費は1ページ平均15万円(VOGUEは25万円)
◇人件費は一人年間1000万円
→広告費100万円×100ページ=一億円がないと、販売だけではほとんど利益が出ない
→雑誌は広告を載せるターゲット媒体
◇広告のページ数を増やそうとするのは間違い。単価は一度下げだすとキリがない。維持することが至上命題
◇そのためには、部数が安定していること&ターゲットが明確にセグメントされていることが必要
◇同一ジャンルの中で、最も高い広告費をつけられる雑誌がブランド。実際の差は別として、圧倒的な差があると「思わせる」ことが重要
◇VOGUEのファッションストーリーは世界最高のスタッフを使って非ショッピングガイドを一本3~400万使ってつくる。アパレルブランドもそういうブランド価値を伝える場をほしがっている。日本にはそんな雑誌はない。だからVOGUE NIPPONはWORLD WIDEで認められている。アパレルブランドは日本以外の世界に拠点あるから、そこと直でやりとりできるのは大きい。代理店とは価格交渉はしない。
◇雑誌とは究極の保護産業である。理由は以下4つの存在。
1.日本語の壁
2.再販制 理由は著作権保護らしいが、アメリカにはこんなものはない
3.取次委託 取次が本屋に何を売るか決めて勝手に送る。委託だから余った本は出版社に返せばいい→誰も販売に対して責任を持たないし、マーケティングというものが存在しない
4.広告代理店 クライアントが決まる前から代理店が広告枠を買って、責任を持ってくれる→しかし、雑誌側から見れば最終的に枠がいくらでどのクライアントに売られているのかがわからないため、枠の価格のブランディングができず、結果としてページを増やす方向に走ってしまう
◇クライアントと直接やりとりするのは日本でうちだけ。電通に嫌われても、クライアントをしっかり捕まえていれば問題はない。クライアントにとっていいことをしているし、それが海外では当たり前だから。
◇この壁の中でぬくぬくしているかぎり雑誌業界に未来はない
◇ラグジュアリーブランドのM&Aが進んでいるのは、店舗や工場ほしさに買収をしているに過ぎず、ブランドはあまり問題とされていない。
◇ラグジュアリーブランドは、本質的な矛盾に陥っている。本来は排他的な存在なのにも関わらず、株式公開をしているから継続的な成長を求められ、市場を広げるために大衆化せざるをえなくなる。今の流れはトムフォードとデソーレが作ったが、04年にコモデティ化が進み、成長が止まり、トムフォードは矛盾に耐え切れず去った。市場としては日本はもう飽和。今はBRICSが注目されている。
■日経コンデナストに移った理由について
◇ファッションは仕事、好きなブランドはない、いまどきのブランドを仕事として着る
◇ブルータス、カーサブルータスの編集長時代に、若い人が壁の中で満足し、新しいことをやろうとせず、可哀想に見えた。自分が20年やってきた雑誌の仕事が終わってしまうと感じた。雑誌というものを次のレベルに引き上げたかった→当時の社長に提案し、子会社化を申し出てビジネスモデル変革をも訴えたが、相手にされなかった。
◇そんなときにコンデナストからハントが来た
◇編集長をやるだけならマガハの方が幸せだったが、もはや編集長レベルが努力しても立ち打ちできない状況になっていたので、新しい環境をつくりたかった。
◇今の若い人が新しいことやおもしろいものをやりたがらないことに危機感を抱いている。
◇差があるからこそ経済が生まれる。ELLEとFIGAROとSPURをバラバラにして混ぜて、いったい何人の人が元に戻せるだろうか?戻せない。同じものだから。
◇レクサスのデザイナーの発言
「トヨタの車の作り方は20世紀の芸術品で確かに素晴らしい。しかし今では他メーカーもできてしまう。デジカメのコモデティ化と同じで、自分がどんなに頑張っても全体として値崩れが起きてしまう。違いをつくる行為が必要」→レクサスには試乗したときに鏡に自分の姿が映るフィッティングルームがある。
◇違いしか価値を生まない
◇雑誌というより雑誌というビジネスが好き。だから雑誌は読まない。
■編集者という職業について
◇編集者で幸せなやつはダメ
◇一般の人と編集者の違いは、エルメスのお店に入って、商品をたくさんほしいと思うか、このお店の商品全てを本に載せたいかと思うかの違い
◇雑誌という業界においては、コツコツ積み上げても何も起きない
◇もし雑誌がネットより後に出現したら、雑誌の方が評価されたかも知れない。雑誌は、ネットのように際限なく広がることなく、一冊で完結するから。
◇雑誌は唯一コンテンツに対して金を払う媒体であり、この唯一性は滅びない
◇最終的に必要なのは空気感であって、コンテを書くのはクリエーターに対する冒涜でしかない。せっかく才能を集めてきたのに、アウトプットをアマチュアが指定するなんて傲慢である。良いか悪いかを判断する能力だけがあればいい。